松本陽子
光は荒野の中に拡散している
1992年
アクリル、キャンヴァス
The Light is Spreading in the Wilderness
acrylic on canvas
   
 
私的光景
2005年
油彩、キャンヴァス
Personal Sight
oil on canvas
   
 
ドローイング
2005年
木炭、紙
Drawing
charcoal on paper
松本陽子(1936-  )は、1960年代初頭のデビュー以来、一貫して絵画の可能性を、果敢に、そして徹底して追求してきました。紫やピンクの茫漠とした色面が重層する独特の画面は、わたしたちを、光に満ち溢れた生成と解体の世界へと誘います。その色彩は物質性から解放され、純粋に視覚的な要素として画面を構成し、拭き取られた色面は、明確なかたちをとることなく相互に重ねられ、類例のない透明感と拡がりを漂わせています。
松本の絵画は、純粋に抽象的な画面であるにもかかわらず、「水」や「風」や「樹木」や「空気」といった、わたしたちの身の回りの風景をも想い起こさせます。しかしそれらは、光を反射すると同時に吸収し、光も影も虚も実も、あらゆる要素を混沌のうちに包摂してしまう、ある種の母性を備えた絵画であるといえるでしょう。
松本は今年、10年越しのプランであった「緑色の絵画」シリーズを実現化しました。その画面は色と形が、ありのままの裸身の状態で斑点として揺れ動いているようであり、あるいは草や花といった具体的なイメージが描かれているようでもあります。45年間にわたる松本の創作活動の到達点であると同時に、新たな展開への挑戦であるといえます。本展では1990年代初頭の作品から、「黒色の絵画」シリーズ、「グレイの絵画」シリーズ、ドローイング、そして未発表最新作「緑色の絵画」シリーズまでの代表的作品、約35点を展示します。
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