神奈川県立近代美術館 鎌倉別館
彫刻の変容-近代から現代へ 2006年6月10日から10月15日まで
戸張孤雁 《煌く嫉妬》 1924年 ブロンズ
  仏像や工芸品、宮大工による建築装飾など、長い職人的伝統をもつ日本の「彫りもの」の世界に、西洋彫刻が「模造の諸術」として伝えられたのは明治初期のことでした。政府が1876(明治9)年に開設した工部美術学校に予科、絵画学科とともに彫刻学科が設けられ、教師に招かれたイタリア人彫刻家ヴィンチェンツォ・ラグーザが、粘土で形作った塑像を石膏で型取りして鋳造する、あるいは塑像を大理石に移すといった塑造の技法を教えたのです。絵画と同様に、西洋美術がもつ写実表現の迫真性に敬服した日本に導入されたこの新しい技法は、塑造と彫造とを問わず彫刻表現を発展させましたが、一方では1907(明治40)年開設の文部省美術展(文展)を契機として、官展アカデミズムを形成し、再現性を重んじるがための画一化、形態の誇張と大作化をもたらすことにもなりました。
  他方、明治末から大正期になって、荻原守衛を筆頭に、中原悌次郎、高村光太郎、戸張孤雁ら、ロダンに影響を受けた作家たちがあらわれます。近代的自我を尊んだ彼らは、具象彫刻であっても、細部の再現的写実性ではなく、作品に作家の芸術観やそれぞれの個性が表出することを重視しました。滞欧や雑誌図版を通じて萌芽したこの精神性は、しだいに前衛美術に歩を合わせ、抽象彫刻へと成長していきます。
  戦後の現代彫刻は、鉄やアルミニウム、ガラス、合板やアクリル顔料など、新しい工業素材を使用し、社会の変化を材質感に反映させたクールな抽象表現を中心に展開しているといえるでしょう。60年代以降盛んになった野外彫刻もまた、芸術作品が社会のなかで再び機能する方法と意義を追求する、社会の変容とともに生まれた表現です。作品がおかれる場そのものを作品化する現代彫刻は、わたしたちの芸術観をも変容させているといえるでしょう。
休館日  月曜日
(ただし7月17日、9月18日、10月9日は開館)
祝日の翌日
(7月18日(火曜)、9月19日(火曜)、10月10日(火曜))
開館時間  午前9時30分~午後5時
(入館は4時30分まで)
観覧料 大人 250円(団体150円)
学生 150円(団体100円)

高校生以下、65歳以上、障害者の方は無料で入館できます。

団体料金は20名様以上から適用されます。
主催 神奈川県立近代美術館
仲田定之助 《頭部》
1924年 石膏
高村光太郎 《大倉喜八郎像》
1927年 ブロンズ
武石弘三郎 《海》
1928年 大理石 (寄託作品)
若林奮 《犬から出る水蒸気》
1968年 鉄
神奈川県立近代美術館
プレスリリース 
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