シュヴァンクマイエル展
ヤン・シュヴァンクマイエル
《『博物誌』のキャビネットIV》1973年
写真提供:アタノル・フィルムスタジオ
エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー
《ヴェノウシュの誕生》1968年
写真提供:アタノル・フィルムスタジオ
ヤン・シュヴァンクマイエル
《生と死をめぐる対話》1996年
写真提供:アタノル・フィルムスタジオ
ヤン・シュヴァンクマイエル
《人形》(映画『オテサーネク』より)2000年
写真提供:アタノル・フィルムスタジオ
「GAUDIA(ガウディア)」[訳注:ラテン語で「悦び」「楽しみ」「慰み」の意]は、マニエリスム的な蒐集物の陳列室の一部を成す、主要なテーマ群のひとつである。それは、意識的であれ無意識的であれ、グロテスクで滑稽であり、風刺的、諧謔的であるような作品のことであり、しばしばエロチックな特徴を有している。このエロチックな特徴こそがまさに、あなた方に近いものであり、遊戯の原則と魔術的なアプローチとともに、すべての作品に浸透していると考える。グロテスク、遊戯、魔術という聖なる「三位一体」は、ありとあらゆる蒐集物の陳列室の基本的な柱を表しており、想像という魔術世界、すなわち現代の実用本位で功利的な文明に対立するもうひとつの世界の窓となることを目指している。
エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー & ヤン・シュヴァンクマイエル
日本では今日、旧東欧のアニメーションがブームとなっています。ヨーロッパの中央に位置するチェコ共和国の現代の映像作家を代表するヤン・シュヴァンクマイエル(1934-)は、その一翼を担い、また近年では短編映画のほか、アニメーションの要素を採り入れた『アリス』(1987)や『ファウスト』(1994)などの長編映画でも国際的に高い評価を得ています。
しかし、シュヴァンクマイエルの創作は、映像に限られたものではありません。ルドルフ2世の治世に画家アルチンボルド(1527頃-93)が幻想的な絵を描いて活躍した魔術的な古都プラハでは、ふたつの大戦間の共和国時代にはカレル・タイゲ(1900-51)などを中心にチェコ・アヴァンギャルド芸術が隆盛を見せました。その伝統を戦後に引き継いで、1950年代後半のスターリン主義の時代、1970、80年代の「正常化」の時代という政治的抑圧の下、1970年代の一時期には映像の制作から離れることを余儀なくされながらも、ヤン・シュヴァンクマイエルは、妻のエヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー(1940-)と共に、シュルレアリストとしての活動を実践、維持してきたのです。
本展覧会では絵画やオブジェなどの造形作品約170点に、映像、シュルレアリスムの実験や写真などの資料を交えながら、シュヴァンクマイエル夫妻の「造形」と「映像」の世界を紹介します。映画『ファウスト』で使われた操り人形、映画『悦楽共犯者』(1996)の自慰機械、映画『オテサーネク』(2000)の木偶人形、現在製作中の新作映画『ルナシー(狂気)』(仮題、2006年公開予定)で使われているオブジェなどが展示されるほか、制作風景などの写真も公開されます。また、併設の講堂では本展覧会に合わせて「シュヴァンクマイエル映画祭 in HAYAMA」を開催し、シュヴァンクマイエルの魔術的な造形と映像の世界をすべてお見せします。
 
ギャラリー・トーク
  9月18日(日)、10月26日(水) 午後2時から
シュヴァンクマイエル映画祭 詳細情報はこちら

葉山館 過去の展覧会へ

JavaScriptを使用しています。JavaScriptをオフにしている方はブラウザのJavaScript設定を有効にしてご覧ください。

↑ページのTopへ