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美しい本 –湯川書房の書物と版画 Beautiful Books: Publications by Yukawa Shobō and Prints from the Museum Collection 2023年1月21日(土)–4月16日(日) 神奈川県近代美術館 鎌倉別館 The Museum of Modern Art, Kamakura

美しい本–湯川書房の書物と版画

企画概要

湯川書房は装幀や製本に意匠を凝らした限定本を出版し、2008年に活動の幕を閉じるまで多くの愛書家を魅了しました。小川国夫、加藤周一、谷崎潤一郎、塚本邦雄、辻邦生、車谷長吉など一流の文学作品を気鋭の美術家の作品と結びあわせた独創的な書物で知られ、1970~80年代に興隆した限定本文化の担い手となりました。「美しい本」の創造を掲げ、版画家の木村茂、岡田露愁、柄澤齊、染色家の望月通陽、画家の戸田勝久らと協働して生まれたのが文学と共鳴する工芸品ともいうべき書物です。本展は蒐集家の岡田泰三氏ご寄贈による当館所蔵品から、書物のユ–トピアをめざした湯川書房の魅力を紹介します。印刷を母体に活字と版画は不即不離の関係にあります。本展では湯川書房で多くの共作を残し、自らも出版工房を主宰する柄澤齊による木口木版の世界を〈肖像画〉シリ–ズを中心にあわせて展覧します。

展覧会の見どころ

愛された「湯川本」―美術館での初回顧展

辻邦生、小川国夫、塚本邦雄、加藤周一、白洲正子、谷崎潤一郎、車谷長吉など一流の文学作品を気鋭の美術家の作品と結び合わせ、洒脱な装幀で知られる「湯川本」。愛書家に知られる存在ながら作品を総覧できる機会はありませんでした。本展は公立美術館として初めて湯川書房の全貌を紹介する回顧展となります。

版画家・柄澤齊の代表作を紹介

書物の挿絵を出自とする木口木版で知られる柄澤齊。1980年代より発表をはじめた文学への深い造詣にもとづく〈肖像画〉シリーズほか代表作からその魅力を紹介します。

湯川成一のポートレート

湯川書房とは

湯川成一(1937–2008)によって1969年に大阪市で設立、1998年より京都市で事務所を構えた。
作品選定から装幀、造本に至るすべての工程を一人で担う限定本の出版を行う。自らの審美眼で作家の才能を見出し、
辻邦生『安土往還記』、望月通陽『出埃及記』、村上春樹『中国行のスロウボート』、柄澤齊『雅歌』、車谷長吉
『抜髪』など次々と刊行。書房には文学者や美術家が集い、日夜文学談義が行われたという。俳句や書画、骨董にも
造詣が深く永田耕衣からグラフィックデザイナーの渡邊かをるの本までひろく手がけた。2004年度造本装幀コンクール優秀賞受賞。没後、湯川を偲んで「湯川成一と湯川書房ゆかりの美術家たち」展(GALERIE petit bois、大阪、2010)が開催された。
                                                 撮影:藤崎雅実

 

開催概要

会場
神奈川県立近代美術館 鎌倉別館
会期
2023年1月21日(土曜)– 4月16日(日曜)
休館日
月曜
開館時間
午前9時30分 – 午後5時(入館は午後4時30分まで)
観覧料
一般250円、20歳未満・学生150円、65歳以上と高校生100円
*中学生以下と障害者手帳等をお持ちの方(および介助者原則1名)は無料です。*ファミリー・コミュニケーションの日(毎月第1日曜日:2月5日、3月5日、4月2日)は、18歳未満のお子様連れのご家族は、割引料金(65歳以上の方を除く)でご覧いただけます。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、同日の会話を楽しむ日「オープン・コミュニケーション・デー」は中止いたします。*その他の割引につきましてはお問い合わせください。*最新情報とご来館に際してのお願いは美術館ウェブサイトか電話にてご確認ください。
主催
神奈川県立近代美術館
県立美術館・博物館の割引
下記の美術館・博物館の有料観覧券の半券利用で、観覧料が割引になります(観覧日から6ヵ月以内の半券。) 一部の展示を除き、65歳以上券、高校生券の割引適用はありません。詳細は各施設にお問い合わせください。詳しくは神奈川県のウェブサイト(別ウィンドウが開きます)をご覧ください。
•近代美術館 葉山

 Tel.046-875-2800
•近代美術館 鎌倉別館

 Tel.0467-22-5000
•金沢文庫

 Tel.045-701-9069
•歴史博物館

 Tel.045-201-0926
•生命の星・地球博物館

 Tel.0465-21-1515
•茅ヶ崎市美術館

 Tel.0467-88-1177

作品紹介

  • 『oedipus』 望月通陽(著・型染)
    1981年
    神奈川県立近代美術館蔵
    撮影:佐治康生

  • 『心臓』 小川国夫(著)
    1969年
    神奈川県立近代美術館蔵
    撮影:佐治康生

  • 『加藤周一詩集』 加藤周一(著)
    1975年
    神奈川県立近代美術館蔵
    撮影:佐治康生

  • 『谷崎潤一郎家集』 谷崎潤一郎(著)
    1977年
    神奈川県立近代美術館蔵
    撮影:佐治康生

  • 『茴香變:塚本邦雄自選歌集』 塚本邦雄(著)
    1971年
    神奈川県立近代美術館蔵
    撮影:佐治康生

  • 湯川書房が手がけた本※1
    神奈川県立近代美術館蔵
    撮影:佐治康生

  • 柄澤齊 《クロノスの盃》
    1979年 コラージュ、墨、ホワイト、紙
    神奈川県立近代美術館蔵
    (美浦康重版画コレクション)
    撮影:尾見重治

  • 『雅歌』 柄澤齊(木口木版画)
    1985年
    神奈川県立近代美術館蔵
    撮影:佐治康生

  • 『春蚓秋蛇』 秦恒平(著)
    1972年
    神奈川県立近代美術館蔵
    撮影:佐治康生

  • 『神さまの四人の娘』
    辻邦生(著)木村茂(銅版画)
    1972年
    神奈川県立近代美術館蔵
    撮影:佐治康生

  • 『景徳鎮古窯・越州古窯・南宋官窯址訪記』
    加藤静允(著)
    2007年
    神奈川県立近代美術館蔵
    撮影:佐治康生

湯川書房が手がけた本※1:(中央から時計回りに)『ぺレアスとメリザンド』モーリス・メーテルランク(著)杉本秀太郎(訳)柄澤齊(木口木版画)1978年 /『中国行きのスロウボート』村上春樹(著) 1984年/『本とわたし』富士川英郎(著)望月通陽(型染)1989年/『蒐書三昧 山の限定本』高橋啓介(著)望月通陽(型染)1981年/『比叡山回峯行』[異装版]白洲正子(著)望月通陽(型染) 1994年/『安土往還記』辻邦生( 著) 1973年/『容器Ⅱ』柄澤齊(木口木版画)、北川健次(石版画)、高柳誠・ 時里二郎(詩)1985年/『物質』永田耕衣(著) 1986年/『失われた指環』加藤周一(著)冨長敦也(銅版画) 2000年

関連イベント

すべて参加無料。ただし本展の当日観覧券が必要です。

  • ゲスト・トーク
    話し手:柄澤齊(版画家)

    日時 2023年3月12日(日曜)
    午後5時10分から6時10分まで
    場所 展示室
    申込 先着での電話受付

    詳細はこちら

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