美術館について

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旧鎌倉館

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神奈川県立近代美術館は、日本で最初の公立近代美術館として、1951年に開館して以来、つねに美術館はどうあるべきかを考えながら国内での先導的な役割を担って活動してきました。時代と世界に向けて広い視野をもつこと、変化する社会の要請を見極めること、美術館が拠って立つ地域との結びつきを豊かにすること、歴史の中に今日的な課題を見出すこと、そして美術館の独自性と主体性を失わないこと。そうした事柄をいつも念頭において経験を積み、これからの活動を探っています。
2016年度からは、葉山館、鎌倉別館と略称している二つの建物でそれぞれ一年に数回の展覧会を開催しています(鎌倉別館は2019年のリニューアルに向けて休館中)。展覧会とならんでさまざまな教育普及活動のプログラムを組み、美術館を多様なかたちで楽しめるよう心がけています。美術館が誰にでも親しめ、快適な場所であり続けられるように、そのうえ、何かが発見できるところであるように、それが神奈川県立近代美術館の目指すところです。

館長からのメッセージ

もやい結びということ

2019年4月  神奈川県立近代美術館長  水沢 勉

最近、「もやう」という言葉に親しみとなつかしさを感じるようになった。一般には「もやい結び」という言葉として使われることが多いかもしれない。漢字は「舫」。「う」を送り仮名とする。
  海の浅瀬に木杭がずらりと並ぶすがたは、江戸でも、ヴェネツィアでも、多くの画家たちが描いたように水都特有の情景であった。江戸は、眼前(江戸前)に広がる海の恵みに生かされたもっとも完成度の高い大都市のひとつであったが、明治維新を機に陸都に変貌し、名前も東京に変わった。
  ラグーンの魅惑は消え、埋め立てられ、陸上交通のほうが優先されるようになる。ナイジェリアのラゴスやバングラデシュのダッカが、本来の水都のすがたであることを、訪れるわたしたちは教えられる。
  20世紀半ばの1951年に鎌倉の鶴岡八幡宮の池畔に誕生した神奈川県立近代美術館は、2003年以降、相模湾に面する葉山館を本館としている。いうならば、水辺にもやっている舟のすがたをしているのである。
  「もやい結び」のたいせつな特徴のひとつは、しっかり結ぶと同時に、いざというときにすぐに解けることである。芸術の海は限りなく広く、ある一点だけに縛られているわけにはいかない。
  本年度の展覧会では、もっとも芸術の現在形を探求しつつある日本のアーティストたちと手を「結ぶ」とともに、過酷な歴史を体験してきたポーランドとフィンランドの表現者たちとも、その「もやい結び」をいったん解き、また結びたいと願っている。
  3年目を迎える共同プロジェクト「マルパ MULPA: Museum UnLearning Program for All(みんなで“まなびほぐす”美術館―社会を包む教育普及事業)」も従来の美術館を地域社会と結ぶとともに解き、また結ぶための試みであると考えている。
  どのように「結び knot」「解く unknot」のか……どうかご注目ください。

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