美術館について
館長からのメッセージ
新年度にあたり
2026年4月 神奈川県立近代美術館長 長門 佐季
今年、当館は開館75周年という節目の年を迎えます。
本年度は、3月7日より葉山館で開催中の「内間安瑆・俊子展 色を織り、記憶を紡ぐ」および「たいせつなものⅡ」を皮切りに、「もはやない国のかつてない光 東ドイツの女性写真家たち」、「銅版画家・駒井哲郎 掌上にひろがる星座のように」、「松本陽子 宵の明星を見た日」、「須田悦弘展」など、多彩な企画を展開してまいります。
また、鎌倉別館では、2月21日より開催している「福田尚代 あわいのほとり」に続き、「山室眞二の薯版画〈かまくら博物誌〉 併陳 コレクション 暮らしの中で」、「コレクション展 ポーランド・ポスター2 銅版画家 渡辺千尋旧蔵品から」、「深川遙想 伊東深水と関根正二」の展覧会を予定しております。
なお、葉山館では、企画展とあわせて収蔵作品の魅力を紹介するコレクション展として、昭和100年を記念した「『鎌倉近代美術館』と昭和の美術」、ならびに「たそかれ、かはたれ—現代美術における“翳”」と題した展示、望月冨昉コレクションによるマルク・シャガール『ラ・フォンテーヌ寓話』の全点紹介、そして田中岑の壁画《女の一生》の制作70周年および葉山移設10年を記念した特集展示を開催いたします。葉山と鎌倉、それぞれ異なる環境と空間のなかで、絵画、版画、写真、彫刻など、多様な表現をご鑑賞いただければ幸いです。
戦後間もない1951年に開館した当館は、復興期の厳しい社会的・経済的状況のなかにありながらも、時代の変化に応じて歩みを重ねてまいりました。今年の3月で東日本大震災から15年が経ちましたが、日本はいまだ 復興の道半ばにあります。日本に暮らす私たちの生活は常に自然災害の脅威と隣り合わせにあり、また世界では現在も各地で紛争が起こり、多くの犠牲者が出ています。
こうした状況において 、芸術の力や意味があらためて問われていると思います。美術館のあるべき姿や未来に継承すべき価値を見つめ直すとともに、「変わらないために変わる」という姿勢の大切さを、あらためて実感しております。
これからも、過去・現在・未来を往還する視点を大切にしながら、より多くの皆さまに親しまれ、心に残る場であり続けられるよう努めてまいります。引き続き、当館の活動に一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。