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再開にあたって(館長からのメッセージ)

2020年6月9日 Up

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鎌倉別館と葉山館の再開にあたって
 
すでに過去に何度も感染症の危険については語られてきました。しかし、現実に新型コロナウイルスがこれほどまでに世界規模で猛威を振るうことに対して、人類全体に十分な準備と心構えが残念ながら調ってはいませんでした。
美術館は多くの人々に開かれた場であり、芸術作品を、その保護も含めて、安全に展示することにはこれまでも細心の注意を払ってまいりました。しかし、新型コロナウイルスに対しては未経験のことが多く、当館もこの数か月間の臨時休館を余儀なくされました。
神奈川県はすでに初期段階で8月末までの社会教育施設の休館を皆様にお知らせしてきました。しかし、多くの方々の思慮深い行動の積み重ねによって、幸い予想よりも早く感染症流行の第一波の収束が見えてまいりました。
芸術作品の多くは、間近で体験することによってその美的体験が成立するものが大半を占めています。それを公開できないまま凍結させてしまうことは、美術館スタッフや来館者にとってまことに辛く切ない時間でした。美術館は、近代市民社会の文化の根幹を形成し、支えてきた存在のひとつであり、またその精華であるからです。
いま、ようやく再開の目途が立ちました。まずは鎌倉別館の全体と葉山館の庭園の公開から始めたいと思います。初めて美術作品に接したときの、あのときめきや喜びを思い出しながら、美術館にかかわるすべての人々の心身の安全を第一に考え、準備してまいりました。残念ながら完全な収束をみていない現在、感染防止のためご理解とご協力をいただきたい注意点もございます。芸術文化は人間の生活に必要不可欠なものであり、できる限り安心できる空間のなかで、再び皆さまとあるべき美術館像を模索し続ける所存です。
 
2020年6月
神奈川県立近代美術館
館長 水沢 勉

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