展覧会

企画概要
鋭い眼差しで人間を描破し、近代の画家の先駆者と称されるフランシスコ・デ・ゴヤ(1746–1828)。彼の生涯は、隣国フランスの革命やナポレオン軍によるスペイン侵攻、それに対する民衆蜂起が続く激動の歴史とともにありました。自らはスペインの宮廷画家として地位を獲得しながらも、病により聴覚を失い、晩年に亡命したフランス、ボルドーで82歳の生涯を閉じました。さまざまに価値や秩序が変転するなか、ゴヤが後半生に手がけたのが銅版画です。無音の世界で到達したそのモノクローム―光と闇の中には、人間に対する深い問いかけが刻み込まれているのではないでしょうか。本展では、ゴヤの四大版画集から『気まぐれ』と『戦争の惨禍』それぞれ全80点を、前後期に分けてご紹介します。
特集:「1959―スペインにいった現代日本版画展」
「ゴヤ版画展」と併せて、日本におけるゴヤの受容を起点に、日本とスペインの間に展開した版画の交流の一端を辿ります。戦後の国際的な版画交流の黎明期、当館が1951年の開館以来、ピカソやゴヤなどの海外作家の版画展を開催する一方で、1959年にスペインで行った「現代日本版画展」に注目します。
展覧会の見どころ
1.ゴヤの傑作版画集『気まぐれ』と『戦争の惨禍』全点展示
全聾になったゴヤが最初に発表した版画集が『気まぐれ』(1797年初版)でした。登場する魑魅魍魎(ちみもうりょう)の豊かな表情には、人間の愚かさ、おかしみが醸し出されています。一方、『戦争の惨禍』(1863年初版)は60歳を過ぎたゴヤが「戦争」という現実を見つめ、10年余りをかけて制作したものの、生前に発表されることはありませんでした。
アクアチント、エッチング、ドライポイントなど多様な技法を駆使した銅版画独自のイメージに、表現者ゴヤの真髄がうかがえます。
2.日本とスペインの版画交流
「ゴヤ版画展」の特集では、1959年にスペインで開催された「現代日本版画展(Grabados Japoneses)」に注目します。同展と、それに先駆けて当館鎌倉館の「スペインにいく現代日本版画展」に出品された村井正誠や上野誠、海老原喜之助などの版画や新資料を手がかりに、日本とスペインの間に交わされた作品と人の繋がりを辿ります。
開催概要
- 会場
- 神奈川県立近代美術館 鎌倉別館
- 会期
- 2024年 8月10日(土曜)– 10月20日(日曜)※展示替えあり
- 休館日
- 月曜(8月12日、9月16日、9月23日、10月14日を除く)
- 開館時間
- 午前9時30分 – 午後5時(入館は午後4時30分まで)
- 観覧料
- 一般250(150)円/20歳未満・学生150(100)円/65歳以上100円/高校生100円
*()内は20名以上の団体料金です。*中学生以下の方と障害者手帳等、ミライロIDをご提示の方(および介助者原則1名)は無料です。ミライロIDについて、通信環境等の影響によりタブレット等の端末画面で必要な情報が確認できない場合は、原本のご提示をお願いすることがあります。*ファミリー・コミュニケーションの日(毎月第1日曜:9月1日、10月6日)は、18歳未満のお子様連れのご家族は割引料金(65歳以上の方を除く)でご覧いただけます。また同日は会話を楽しむ日「オープン・コミュニケーション・デー」となりますので、小さなお子様連れの方も遠慮なくご覧ください。*その他の割引につきましてはお問い合わせください。*最新情報とご来館に際してのお願いは美術館ウェブサイト等をご確認ください。
- 主催
- 神奈川県立近代美術館
- 県立美術館・博物館の割引
- 下記の美術館・博物館の有料観覧券の半券利用で、観覧料が割引になります(観覧日から6か月以内の半券。) 一部の展示を除き、65歳以上券、高校生券の割引適用はありません。詳細は各施設にお問い合わせください。詳しくは神奈川県のウェブサイトをご覧ください。
•近代美術館 葉山
Tel.046-875-2800
•近代美術館 鎌倉別館
Tel.0467-22-5000
•金沢文庫
Tel.045-701-9069
•歴史博物館
Tel.045-201-0926
•生命の星・地球博物館
Tel.0465-21-1515
- 近隣館との相互割引
- 下記の施設の観覧券半券(観覧日から6か月以内)・年間パスポート(有効期限内)をお持ちの方は、当館の観覧料に割引が適用されます(1枚につき1回限り有効。65歳以上券を除く)。また、当館の有料観覧券の半券(観覧日から6か月以内)を茅ヶ崎市美術館で提示いただくと観覧料に割引料金が適用されます。【当館のコレクション展観覧券にも適用されます。】
•茅ヶ崎市美術館
電話:0467-88-1177
作品紹介
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フランシスコ・デ・ゴヤ 版画集『気まぐれ』1《扉絵(自画像)》
初版は1799年 エッチング、アクアチント、ドライポイント、ビュラン、紙
神奈川県立近代美術館蔵(前期展示) -
フランシスコ・デ・ゴヤ 版画集『気まぐれ』37《弟子の方が物知りなのだろうか?》
初版は1799年 エッチング、バーニッシャー、アクアチント、ビュラン、紙
神奈川県立近代美術館蔵(前期展示) -
フランシスコ・デ・ゴヤ 版画集『気まぐれ』43《理性の眠りは怪物を生む》
初版は1799年 エッチング、アクアチント、紙
神奈川県立近代美術館蔵(前期展示) -
フランシスコ・デ・ゴヤ 版画集『戦争の惨禍』1《来たるべきものへの悲しき予感》
1863年(初版) エッチング、ビュラン、ドライポイント、バーニッシャー、紙
神奈川県立近代美術館蔵(後期展示) -
フランシスコ・デ・ゴヤ 版画集『戦争の惨禍』30《戦争の惨害》
1863年(初版) エッチング、ドライポイント、ビュラン、バーニッシャー、紙
神奈川県立近代美術館蔵(後期展示) -
フランシスコ・デ・ゴヤ 版画集『戦争の惨禍』80《彼女はよみがえるだろうか?》
1863年(初版) エッチング、バーニッシャー、紙
神奈川県立近代美術館蔵(後期展示) -
村井正誠《女の顔》
1956年 シルクスクリーン、紙
神奈川県立近代美術館蔵(全期展示) -
上野誠《屠場のうた》
1957年 木版、紙
神奈川県立近代美術館蔵(全期展示) -
海老原喜之助《本を焼く人》
1956年 リトグラフ、紙
神奈川県立近代美術館蔵(全期展示)
関連イベント
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ギャラリートーク
日時 2024年8月24日(土曜)、
9月21日(土曜)、
10月5日(土曜)
各日 午後2時-2時30分場所 鎌倉別館 展示室 -
ワークショップ「版画を体験しよう」
講師 加瀬浩嗣(版画家・デザイナー) 日時 9月16日(月曜)午後2時-4時 場所 鎌倉別館 カフェ 定員 10名 要申込・参加無料(ただし高校生以上は「ゴヤ版画」展の当日観覧券が必要です。) 対象 小学校5年生(10歳)以上の方 申込 8月16日(金曜)9時30分より申込を受付します。
【申込終了】アクリル板を鉄筆でけずって、インクをつけて、プレス機にはさんで、ドライポイントという技法を体験します。 子どもから大人まで、ビギナーでも参加できます。汚れてもよい服装でご参加ください(エプロンなどをご持参ください)。