お知らせ

令和7年度会計年度任用職員(学芸員)を募集しています。募集詳細をみる

展覧会

コレクション展「木茂先生の挿絵考 併陳:近代の洋画」

木茂(もくも)先生の挿絵考
併陳:近代の洋画

企画概要

木茂(もくも)先生こと、明治美術の研究者で愛書家の青木茂(あおき・しげる/1932–2021)の旧蔵書として当館に収蔵された約1万冊の「青木文庫」を紹介する展覧会。自らを書痴と称して蒐集した膨大な古書・資料のなかから「挿絵」に関する書籍、雑誌、および新聞・雑誌挿絵の切抜スクラップ帖、挿絵原画を展示します。幕末から明治、大正、昭和の初期にかけて印刷技術が大きく変化するなかで、木版、銅版、石版、そして金属版へと移行した挿絵の変遷を青木の眼をとおして辿ります。 文字情報を補足する役割を担って生まれた「挿絵」は「挿画」ともいわれ、図譜や地理書から、教科書、新聞、雑誌、書籍でも使用されるようになりました。本展では、新聞挿絵のような物語の一場面を描いたものから、「口絵」「コマ絵」「装画」「戯画」「漫画」などを含みます。中村不折(1866–1943)、小杉未醒(1881–1964)らによる戯画や、雑誌『明星』に発表された、山本鼎(1882–1946)の創作版画の第1号と目される《漁夫》などを展示。それぞれの「挿絵」に込められたユーモアや豊かな情景をお楽しみください。 「併陳:近代の洋画」では、これらと時代を合わせ、収蔵品のなかから浅井忠(1856–1907)、黒田清輝(1866–1924)、藤島武二(1867–1943)、中澤弘光(1874–1964)、三宅克己(1874–1954)、岸田劉生(1891–1929)らによる近代洋画の名品を紹介します。

展覧会の見どころ

1.洋画家が描いた挿絵のコレクション

江戸時代、絵師が手掛けていた挿絵は明治に入ると画家たちの手に移り、洋画家たちによって新聞雑誌を彩る多数の挿絵が描かれました。油彩作品とは異なる、画家たちの創作をお楽しみください。

2.日本で最初に出版された「アラビアンナイト」

日本で最初に出版された「アラビアンナイト(千夜一夜物語)」である『開巻驚奇 暴夜物語』(かいかんきょうき・あらびやものがたり/奎章閣、1875年刊)を展示します。同書では、1874年に来日し、日本の石版画界に大きな影響を与えた版画技師スモリックによる石版画の挿絵が掲載されています。

3.新聞挿絵ができるまで

幕末に発行された最初の日本語新聞『海外新聞』は和紙に手書きでしたが、まもなく木版刷に変わります。その後、印刷技術の進歩とともに新聞挿絵のための原画を描く画家の出番が増えました。新聞挿絵の技術的な変遷や、原画から印刷までの制作工程も紹介します。

4.近代美術館の名品を展示

「併陳:近代の洋画」では神奈川県立近代美術館のコレクションを代表する名品として、高橋由一旧蔵《負翼童子図》から新収蔵の中澤弘光までの油彩画、水彩画を紹介します。黒田清輝《逗子五景》の豊かな色彩や、岸田劉生《村娘》にみられる「素朴な愛らしさ」など、作品にあらわれた個性をお楽しみください。

 

青木茂略歴

1932年岐阜県生まれ。東京藝術大学図書館・芸術資料館、神奈川県立近代美術館を経て、跡見学園女子大学教授、町田市立国際版画美術館長、文星芸術大学教授、明治美術学会長を歴任。『明治洋画史料・記録篇』で1986年芸術選奨文部大臣賞を受賞。2021年東京にて没。著書『高橋由一油画史料』『油絵初学』『美術の図書 旧刊案内』『書痴、戦時下の美術書を読む』ほか共著、編著多数。

開催概要

会場

神奈川県立近代美術館 鎌倉別館

会期

2025年4月26日(土曜)-7月21日(月曜・祝)
※会期中、不定期に冊子等のページ替えを行います。

休館日

月曜(5月5日、7月21日を除く)

開催時間

午前9時30分-午後5時(入館は午後4時30分まで)

観覧料

一般250(150)円
20歳未満・学生150(100)円
65歳以上100円
高校生100円

*( )内は20名以上の団体料金です。
*中学生以下の方と障害者手帳等、ミライロIDをご提示の方(および介助者原則1名)は無料です。ミライロIDについて、通信環境等の影響によりタブレット端末等の画面で必要な情報が確認できな い場合は、原本のご提示をお願いすることがあります。
*無料開館日:5月18日(日曜)国際博物館の日
*ファミリー・コミュニケーションの日(毎月第1日曜:5月4日、6月1日、7月6日)は、18歳未満のお子様連れのご家族は割引料金(65歳以上の方を除く)でご覧いただけます。また同日は会話を楽しむ日「オープン・コミュニケーション・デー」となりますので、小さなお子様連れの方も、遠慮なくご覧ください。
*その他の割引につきましてはお問い合わせください。
*最新情報と来館に際してのお願いは美術館ウェブサイト等をご確認ください。

主催

神奈川県立近代美術館

協力

明治美術学会

県立美術館・博物館の割引

下記美術館・博物館の有料観覧券の半券提示で、観覧料が割引になります(入館日から6か月以内、半券1枚につき1回限り有効)。
同じ施設へも適用可能です。一部の展示を除き、65歳以上の方と高校生の割引適用はありません。詳細は各施設にお問い合わせください。

  • 近代美術館 葉山  電話:046-875-2800
  • 近代美術館 鎌倉別館  電話:0467-22-5000
  • 金沢文庫  電話:045-701-9069
  • 歴史博物館  電話:045-201-0926
  • 生命の星・地球博物館  電話:0465-21-1515
近隣館との総合割引

下記の施設の観覧券半券(観覧日から6か月以内)・年間パスポート(有効期限内)をお持ちの方は、当館の観覧料に割引が適用されます(1枚につき1回限り有効。65歳以上券を除く)。また、当館の有料観覧券の半券(観覧日から6か月以内)を下記で提示いただくと観覧料に割引料金が適用されます。

作品紹介

  • 原作者不詳/永峯秀樹訳 スモリック画『開巻驚奇暴夜物語』奎章閣
    1875年刊 石版、紙
    神奈川県立近代美術館蔵(青木文庫)

  • 仮名垣魯文著/守川周重画『高橋阿伝夜刃譚』第八編(上・中・下)
    1879年 木版、紙
    神奈川県立近代美術館蔵(青木文庫)

  • 山本鼎《漁夫》
    1904年 木版、紙
    神奈川県立近代美術館蔵(青木文庫)

  • 中村不折(画)《北斎鳥跡ヲ利用シテ立田川の図ヲ為ル》
    1908年 木版(新聞挿絵の清刷)、紙
    神奈川県立近代美術館蔵(青木文庫)

  • 森田恒友《八月》(『方寸画暦』より)
    1909年 石版、紙
    神奈川県立近代美術館蔵(青木文庫)

  • 浅井忠《巴里風景(尼)》
    制作年不詳 石版、紙
    神奈川県立近代美術館蔵(青木文庫)

  • 木村荘八《『大同石佛寺』「第204圖 釋迦傳見取圖 後宮嬉遊圖」原画》
    1920年 水彩絵具、鉛筆、紙
    神奈川県立近代美術館蔵(青木文庫)

  • 岸田劉生《村娘》
    1921年 鉛筆、水彩絵具、紙
    神奈川県立近代美術館蔵

  • 黒田清輝《逗子五景》より
    1898年頃 油絵具、板
    神奈川県立近代美術館蔵