西村盛雄
《甘露の雨  壁の作品15番》 2000年、木
   
 
《黄砂3》 2005年、ガラス
   
 
《甘露の雨  マナ-9》 2002年、木
西村盛雄(1960−  )は、1991年にドイツに渡ってデュッセルドルフの美術アカデミーでギュンター・ウッカーのもとに学び、その後もドイツにとどまって制作活動を続けています。1993年、ヴッパータルで開催された個展で、現在も続けている蓮の葉をモティーフにした作品を発表。「甘露の雨」と題されたそれらの作品は、合板を層状に重ねたものから精妙に蓮の葉のかたちを掘り出したものです。削る、あるいは彫るという作家の行為によって木に新たな生命が与えられ、それらの蓮の葉は、いきいきと自然のエネルギーや時間を蓄積しながら、空気をはらみ、軽やかに目の前に降り立ったような印象を与えます。蓮の葉から仏教的なイメージを導き出すことは容易ですが、しかしながら、それらは宗教の枠を越えて、より自由に過去と現在、未来へと私たちを誘います。
本展は、1993年以降の西村盛雄の仕事を日本でまとめて紹介するはじめてのものです。これまでに制作された一連の「甘露の雨」から選んだ10点に新作を加え、乾いた蓮の葉の上に紙の層を重ねた平面作品《劫》、さらに型抜きガラスの手法を用いた一連の立体作品「黄砂」など約20点を展示する予定です。
この展覧会が開催される頃、平家池の蓮はもっとも美しい様相をみせます。西村盛雄によってつくりだされた蓮の葉が、展示室の窓外にひろがる蓮の群れと呼応して、より豊かな世界をもたらしてくれることでしょう。
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