建築と暮らしの手作りモダン アントニン&ノエミ・レーモンド 神奈川県立近代美術館 鎌倉
軽井沢の夏の家 1933年
Raymond Collection, The Architectural Archives,
University of Pennsylvania
霊南坂の家 1924-26年
Collection Kitazawa Koichi
東京ゴルフクラブ 1930-32年
Sugiyama Collection, The Architectural Archives,
University of Pennsylvania
群馬音楽センター 1955-61年
Photo by Joe Shimizu
新発田カトリック教会 1965-66年
Photo by Joe Shimizu
軽井沢の新スタジオ 1960-62年
Photo by Joe Shimizu
激しい社会的、政治的、経済的変化を体験した20世紀の日本は、にもかかわらず、現代的かつ伝統的、国際的でありながら地域的な独自の文化によって世界に影響を与えてきました。特に20世紀中葉、モダン・デザインが発展する中で日本の果した大きな役割は、近年、詳細な研究の対象となってきています。
   アントニン・レーモンド(1888-1976)とノエミ・ペルネッサン・レーモンド(1889-1980)夫妻の仕事は、このような日本と世界の文化的対話について新しい省察をもたらすものです。彼らの40年以上にわたる日本文化とのおどろくべき出会い(1919-37年、1948-73年)、そしてふたつの日本滞在にはさまれたアメリカ東部での活動(1938-47年)は、それぞれの土地固有の特徴や材料、生活条件に基づきながら、きわめて創造的なヨーロッパ、アメリカ、東洋の「綜合」を実現しています。
   レーモンド夫妻による建築、家具、テキスタイルなどのデザインは、日本の美的伝統に対する、新しい眼差しと理解の可能性を指し示しました。帝都東京、森に囲まれたアメリカ東部ニューホープ、そしてインドの大地へと展開したレーモンド夫妻の足跡と仕事は、グローバルとローカル、異国的なものと真正なものについての私たちの考えを覆して、モダニズムへのもうひとつのアプローチを生き生きと提示しています。
   アメリカ、ヨーロッパ、日本の研究者が協力して企画した本展は、レーモンド夫妻の60年におよぶ素晴らしいパートナーシップが世界各地に遺した仕事を、国際的な調査に基づいて概観する初めての回顧展です。
   チェコ生まれのアントニンがフランス生まれのノエミと結婚してアメリカに住むようになった第1次世界大戦前後の仕事から始めて、1919年、帝国ホテルの建設のためフランク・ロイド・ライトとともに来日して、東京で活動するようになった20年代の初期作品、レーモンドを世界的なモダニズムの旗手に押し上げた30年代の仕事、戦争中のアメリカ、ニューホープにおける作品、そして戦後、再来日して日本各地に建設した円熟期の仕事などを、200点を超す図面、写真、模型、家具、テキスタイル、絵画、彫刻、ビデオなどによって紹介します。
   また、本展では、レーモンドの日本の近代建築の発展に対する貢献を理解するため、彼の下で建築家としての出発をとげた前川國男、吉村順三、増沢洵、ジョージ・ナカシマらの作品もあわせて紹介します。
 
ページの先頭へ

関連プログラム
シンポジウム「レーモンドを再発見する」建築と暮らしの手作りモダン  アントニン&ノエミ・レーモンド展開催記念シンポジウム
日本の近代建築の発展に大きな影響を及ぼしたことで有名なレーモンドは、また日本文化にひそむ現代性を見出して世界のモダン・デザインに新たな方向を提起したことで注目を集めています。
   本シンポジウムは、アメリカ、ヨーロッパ、日本の専門家が協力して企画した初めての大規模なレーモンド展を記念して開かれるもので、日米欧のキュレーター、建築家、建築史家が集まり、日本と世界の交差する眼差しの中で立ちあらわれる新しいレーモンド像とその今日的な意義を議論します。
   発表、討論は日本語と英語(通訳付)で行なわれます。

講師(予定)
・北沢興一(元レーモンド設計事務所員)
・大川三雄(日本大学准教授)
・松隈洋(建築家、京都工芸繊維大学准教授)
・ウィリアム・ウィテーカー
  (ペンシルヴァニア大学付属建築博物館主任学芸員)
・カート・ヘルフリック
  (カリフォルニア大学サンタバーバラ校付属美術館学芸員)
・中原真理(ワシントンDC、オクタゴン博物館学芸員)
・ケン・タダシ・オオシマ(ワシントン大学准教授)
・クリスティーヌ・ヴァンドルディ=オザノ
  (ローザンヌ連邦工科大学准教授)
太田泰人
(当館普及課長、本展日本側キュレーター)

日時

2007年9月16日(日曜)
午後1時から4時30分(開場12時30分)
会場 鎌倉商工会議所ホール
(鎌倉市御成町17-29、鎌倉駅西口下車徒歩 5分、鎌倉市役所前)
定員 150名(申込先着順) 参加無料
席に余裕がある場合は当日会場でも受付ます
申込方法 「レーモンド・シンポジウム申し込み」として、参加者の氏名・住所・電話番号・ファクス番号を明記のうえ、9月11日(火曜)までにファクスでお申し込みください。
(ファクスをお持ちでない方はお電話でお問い合わせください)
申込み先 ファクス 0467-23-2464
神奈川県立近代美術館 鎌倉
「レーモンド・シンポジウム」係
(電話 0467-22-5000)
ギャラリートーク
 9月21日(金曜)、 10月12日(金曜)、各日とも午後2時から
ページの先頭へ

鎌倉館 過去の展覧会へ

JavaScriptを使用しています。JavaScriptをオフにしている方はブラウザのJavaScript設定を有効にしてご覧ください。

↑ページのTopへ