主なコレクション
内山嘉吉と中国木刻
1930年代から40年代に中国で制作された木刻画と称される木版画があります。1930年代に魯迅が主導した抗日運動と連動して展開した木刻運動は、当時、中国で書店を経営していた兄完造を訪ねた内山嘉吉氏が上海で版画講習会を開いたことにより、青年たちのあいだで一気に広がっていきました。内山氏はコレクターというよりも、当時の運動の当事者のひとりとして日中戦争の激動の時代を彼らとともに過ごし、素朴で力強い版画の数々を日本に持ち帰りました。1975年に当館で開催した「中国木版画展」は、前年に内山氏から寄贈された1930年代から40年代までの木刻画作品を中心に構成されたものでした。1980年の2度目の寄贈によって1955年から1970年代にいたる作品も加わり、合計600点におよぶ中国版画のコレクションは、中国にもほとんど類を見ることのない、世界的に貴重なコレクションとなっています。
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汪刃鋒《とむらい》
制作年不詳 -
陳葆真《光は目の前に》
1932年頃 -
克萍《魯迅先生》
1947年