展覧会

中西夏之 光の条件
企画概要
中西夏之(なかにし・なつゆき/1935-2016)は、独自の思索を通じて絵画を空間や身体とのつながりにおいて実践した、戦後日本を代表する画家のひとりです。そして2025年は、中西が晩年の大きなテーマとしたシリーズ〈着陸と着水〉の記念すべき1作目を、当館の旧鎌倉館の新館で発表してから30年となります。
本展では、当館に新収蔵された同シリーズの2作目となるインスタレーション《紗幕孔穿》(1996)や〈中央の速い白〉、さらに近年寄託を受けたシリーズ〈二ツのリンゴ〉(1972-1975)や関連する素描そして貴重な資料などを展示し、この画家が生涯をかけて思考を続けた絵画の成り立ち、絵画が生まれる場を探ります。
中西夏之 略歴
1935年東京都生まれ。東京藝術大学卒業後、1960年代初頭に高松次郎や赤瀬川原平らと「ハイレッド・センター」を結成し、都市部で前衛的なイベントを行う。また、舞踏家の大野一雄や土方巽と交流を深め、多くの舞台美術を手がけた。さらに瀧口修造や澁澤龍彥らとの交流を通じて前衛美術への造詣も深める。そうした活動と並行して、常に絵画の本質を探求する作品も制作。代表的な絵画シリーズには〈山頂の石蹴り〉、〈弓形が触れて〉、〈大括弧〉、〈紫・むらさき〉、〈中央の速い白〉などがある。絵画論の著作も多く、教育者としても美学校設立に関わり、東京藝術大学教授などを歴任。95年からは身体的かつ空間的な手法によって絵画の構造や根源を追求した〈着陸と着水〉を発表し、晩年の新たな絵画表現を展開した。
展覧会のみどころ
大作《紗幕孔穿》による空間インスタレーション
中西夏之の作品の中でも最も大がかりな作品の一つ、《紗幕孔穿》(1997)を10年ぶりに展示します。同作品は、1960年代に舞踏家の大野一雄や土方巽らとの交流の中からこの画家がずっと温めていた、絵画が生まれる場=「絵画場」を独自の哲学と素材で表現した晩年を代表するシリーズ〈着陸と着水〉の2作目です。本作は東京都現代美術館の個展にあわせて発表され、2024年度に当館に寄贈されました。海の見える当館の展示室一室を使って展開される本作品は、画家の晩年の思考に触れるまたとない機会となるはずです。
開催概要
- 会場
神奈川県立近代美術館 葉山(展示室3b、4)
- 会期
2025年4月12日(土)-6月29日(日)
- 休館日
月曜日(5月5日を除く)
- 開催時間
午前9時30分-午後5時(入館は午後4時30分まで)
- 観覧料
一般250(150)円
20歳未満・学生150(100)円
65歳以上100円
高校生100円*( )内は20名以上の団体料金です。
*中学生以下の方と障害者手帳等、ミライロIDをご提示の方(および介助者原則1名)は無料です。
*無料開館日:5月18日(日)国際博物館の日
*企画展「日本画コレクション再発見と片岡球子「蔦屋重三郎の浮世絵師たち」」の観覧券で同日に限りコレクション展「中西夏之 光の条件」をご覧いただけます。
*ファミリー・コミュニケーションの日(毎月第1日曜日:5月4日、6月1日)は、18歳未満のお子様連れのご家族は割引料金(65歳以上の方を除く)でご覧いただけます。なお、同日は会話を楽しむ日「オープン・コミュニケーション・デー」となりますので、小さなお子様連れの方も、遠慮なくご覧ください。
*その他の割引につきましてはお問い合わせください。
*最新情報と来館に際してのお願いは美術館ウェブサイト等をご確認ください。
- 主催
神奈川県立近代美術館
- 県立美術館・博物館の割引
下記美術館・博物館の有料観覧券の半券提示で、観覧料が割引になります(入館日から6か月以内、半券1枚につき1回限り有効)。
同じ施設へも適用可能です。一部の展示を除き、65歳以上の方と高校生の割引適用はありません。詳細は各施設にお問い合わせください。- 近代美術館 葉山 電話:046-875-2800
- 近代美術館 鎌倉別館 電話:0467-22-5000
- 金沢文庫 電話:045-701-9069
- 歴史博物館 電話:045-201-0926
- 生命の星・地球博物館 電話:0465-21-1515
- 近隣館との相互割引
1)下記の施設の当日観覧券(招待券を除く)・年間入館券(有効期限内)をお持ちの方は、葉山館の企画展観覧料に割引が適用されます(1枚につき1回限り有効。65歳以上券を除く)。また、葉山館の企画展の有料観覧券(65歳以上券、高校生券を除く)の半券提示で、会期中の同日に限り下記の施設に割引料金でご入館いただけます。
2)下記の施設の観覧券半券(観覧日から6か月以内)・年間パスポート(有効期限内)をお持ちの方は、当館の観覧料に割引が適用されます(1枚につき1回限り有効。65歳以上券を除く)。また、当館の有料観覧券の半券(観覧日から6か月以内)を下記で提示いただくと観覧料に割引料金が適用されます。
- 茅ヶ崎市美術館 電話:0467-88-1177
作品紹介
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中西夏之《紗幕孔穿》展示風景(部分)
1997年撮影
撮影:後藤充 ©Natsuyuki Nakanishi -
中西夏之《着陸と着水》展示風景(部分)
1995年撮影
撮影:後藤充 ©Natsuyuki Nakanishi
同時開催
日本画コレクション再発見と片岡球子「蔦屋重三郎の浮世絵師たち」
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