展覧会

川口起美雄 Thousands are Sailing
企画概要
川口起美雄(かわぐち・きみお/1951−)は、目に見えるものを描き、誰も見たことがない風景を現出する作家です。その作品は、ウィーンで学んだテンペラ絵具と油絵具による混合技法で描かれています。独特の美しい質感と寓意が交錯する川口の絵画は、しばしば詩に喩えられ、文学者や詩人たちからも高く評価されています。
1970年代以降、川口は「故郷を喪失したものたち」の旅の記録者として作品を描いてきました。その背景には、ウィーン在住時に経験した国を追われた学生たちとの出会いや、国内外の不安定な政治情勢があるといいます。住まうべき場所、そこに住んで幸せを感じうる場所を求めてさまよう人々のために描かれた景色は、個人の記憶を越えて、誰もが心のどこかに抱える懐かしさを呼び起こします。
本展では、初期の代表作から初公開となる最新作まで、約40点の絵画とオブジェ作品を展示します。広大な幻想の風景から、動植物など多様なモチーフの姿を借りた自画像、そしてより写実的な手法へと、ゆるやかに変化を続けながら、数多の人々とともに旅を続けてきた川口の半世紀に及ぶ創作の軌跡をたどります。
展覧会のみどころ
1.半世紀の画業をたどる回顧展
公立美術館では10年ぶりの個展となる本展では、デビュー展の出品作から最新作まで、各時期の作品が一堂に会します。
2.初公開の新作多数
本展のために制作された絵画、オブジェ作品を10点以上出品します。旧作と響き合いながら、新たな詩情を紡ぎ出す川口の絵画世界をお楽しみください。
川口起美雄 略歴
1951年、長崎県生まれ。1974年に渡墺。オーストリア国立ウィーン応用美術大学にてヴォルフガング・フッターに師事し、北方ルネサンスの古典技法を研究。テンペラ絵具と油絵具の混合技法を習得する。1977年に帰国し、翌年、青木画廊(東京)で初の個展を開催。1985年から翌年にかけて、文化庁在外研修員としてウフィッツィ美術館修復室でイタリア・ルネサンスの技法を学ぶ。1987年、第30回安井賞展で佳作賞を受賞。2002年に池田20世紀美術館、2015年に平塚市美術館、2021年に武蔵野美術大学 美術館・図書館で個展を開催。2013年から2022年まで武蔵野美術大学造形学部油絵学科の教授を務めた。
開催概要
- 会場
神奈川県立近代美術館 鎌倉別館
- 会期
2025年11月1日(土曜)-2026年2月1日(日曜)
- 休館日
月曜(11月3日、11月24日、1月12日を除く)、12月29日−1月3日
- 開催時間
午前9時30分-午後5時(入館は午後4時30分まで)
- 観覧料
一般700(600)円
20歳未満・学生550(450)円
65歳以上350円
高校生100円
*( )内は20名以上の団体料金です。
*中学生以下の方と障害者手帳等、ミライロIDをご提示の方(および介助者原則1名)は無料です。ミライロIDについて、通信環境等の影響によりタブレット端末等の画面で必要な情報が確認できない場合は、原本のご提示をお願いすることがあります。
*無料開館日:11月3日(月曜・祝)文化の日
*ファミリー・コミュニケーションの日(毎月第1日曜:11月2日、12月7日、1月4日、2月1日)は、18歳未満のお子様連れのご家族は割引料金(65歳以上の方を除く)でご覧いただけます。また同日は会話を楽しむ日「オープン・コミュニケーション・デー」となりますので、小さなお子様連れの方も、遠慮なくご覧ください。
*その他の割引につきましてはお問い合わせください。
*最新情報と来館に際してのお願いは美術館ウェブサイト等をご確認ください。
- 主催
神奈川県立近代美術館
- 県立美術館・博物館の割引
下記美術館・博物館の有料観覧券の半券提示で、観覧料が割引になります(入館日から6か月以内、半券1枚につき1回限り有効) 。
同じ施設へも適用可能です。一部の展示を除き、65歳以上の方と高校生の割引適用はありません。詳細は各施設にお問い合わせください。- 近代美術館 葉山 電話:046-875-2800
- 近代美術館 鎌倉別館 電話:0467-22-5000
- 金沢文庫 電話:045-701-9069
- 歴史博物館 電話:045-201-0926 *(2026年9月まで工事のため休館)
- 生命の星・地球博物館 電話:0465-21-1515
- 近隣館との相互割引
下記の施設の観覧券半券(観覧日から6か月以内)・年間パスポート(有効期限内)をお持ちの方は、当館の観覧料に割引が適用されます(1枚につき1回限り有効。65歳以上券を除く)。また、当館の有料観覧券の半券(観覧日から6か月以内)を下記で提示いただくと観覧料に割引料金が適用されます。
- 茅ヶ崎市美術館 電話:0467-88-1177
作品紹介
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川口起美雄
《柘榴(グラナダ・アプフェル)》
1977年 テンペラ、油彩、カンヴァス
個人蔵 -
川口起美雄《故郷を喪失したものたち》
1982年 テンペラ、油彩、板
東京オペラシティ アートギャラリー蔵 -
川口起美雄《背中》
1983年 テンペラ、油彩、パーティクルボード
個人蔵 -
川口起美雄《境界》
1997年 テンペラ、油彩、板 -
川口起美雄《ウサギの肖像》
1998年 テンペラ、油彩、板 -
川口起美雄《時の祭壇》
2003年 テンペラ、油彩、板
個人蔵 -
川口起美雄《夜の肖像》
2005年 テンペラ、油彩、板 -
川口起美雄《フランツ・Kの街》
2011年 テンペラ、油彩、板
個人蔵 -
川口起美雄《机の上の旅》
2025年 テンペラ、油彩、板
個人蔵 -
川口起美雄《セルロイドの羊たち》
2025年 テンペラ、油彩、板
個人蔵