美術館について

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旧鎌倉館

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歴史

神奈川県立近代美術館は、1951(昭和26)年11月17日に開館しました。開館の経緯は、1949年に県在住の美術家、学者、評論家たちが集い、第二次大戦後の混乱と再生の時代に、文化芸術の指針を示す活動の必要性を感じて美術館建設を目指し、神奈川県美術家懇談会を設立したことに端を発しています。1951年坂倉準三設計の建築で日本に初めてできた公立近代美術館の出発は、広く歓迎され期待されました。

ニューヨーク近代美術館などを範としながら、要約すると以下の方針をもって活動を始め、現在にいたるまで高い評価を受けつづけています。

  • 日本及び世界の近代・現代美術を紹介し、人間相互の理解を深めると同時に、世界美術のなかに日本の現代美術を位置づけること。
  • 日本及び世界の豊かな歴史的美術を現代の目で見つめなおし、その豊かさを現代人の心と生活の中に定着させること。

セザンヌ、ルノワール展

開館記念展は「セザンヌ、ルノワール展」で、その後、外国作家展、数々のテーマ展、とりわけ高橋由一、萬鉄五郎、黒田清輝、佐伯祐三、松本竣介など、日本近代の重要な作家の展覧会を開いて、美術史の組み立てに骨組みを与えてきました。開館50年を経過した時点で、開催した展覧会は600回以上を数えましたが、先に掲げた方針からもわかるように、神奈川県立近代美術館は、展覧会活動を主軸にして出発し、そのあり方は現在まで首尾一貫しています。そうした活動を支えるのが日々の調査研究であり、展覧会とともに研究の分野でも数々の実績をあげてきています。また、展覧会をとおして多くの作家、収集家、美術愛好家、作家の家族との縁が結ばれ、現在の、公立美術館の中でも有数のコレクションが形成されてきたのです。

1966年に、増加しつつあった所蔵作品を収める収蔵庫、新たな展示室などをもった新館が増築され、美術館活動の幅を広げる根拠ともなりました。設計は、やはり坂倉準三の手によるものです。

その後も美術館は成長を続け、収蔵庫の拡充、常設展示のスペースの確保が必要となって、1984年7月に大高正人の設計で別館が完成しました。別館の前庭には野外彫刻が設置され、神奈川県立近代美術館が力を注いできた日本の現代彫刻の活性化の成果が見られます。

そして、活発な美術館活動を絶やさずに続けるなか、美術館に対する社会的な要請、一層増大するコレクションの収納、大型化する展覧会への対処など、さまざまな必要に迫られて、1994年に県立近代美術館再編整備基本構想委員会が設置され、新世紀に向けての新たな美術館体制が検討されはじめました。検討の結果、1997年に葉山町一色海岸への建設が決定され、佐藤総合計画による設計作業を経て、2001年にPFI事業の手続きが完了するとまもなく葉山館の建築工事が着工されました。1年半ほどの工期をかけて2003年3月に竣工し、一色海岸に新たな建物が姿を現しました。

鎌倉館の老朽化が顕著になり、国史跡に指定された鶴岡八幡宮境内では史跡にそぐうもの以外の現状変更が認められず、美術館として改修することは困難であることから、2015年度をもって美術館としての活動は終了することとなり、2016年3月31日に閉館しました。旧鎌倉館本館は同年11月に神奈川県指定重要文化財に指定され、12月に鶴岡八幡宮へ譲渡されました。

神奈川県立近代美術館は、2016年度より葉山館と鎌倉別館の二館体制で活動を続けています。旧鎌倉館で親しまれてきた壁画や野外彫刻の多くは、2016年に葉山館に移設されました。鎌倉別館は2017年から約2年にわたり休館して改修を行い、2019年10月12日にリニューアルオープンしました。

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