建築
鎌倉別館の建築について
旧鎌倉館(2016年3月閉館)から北鎌倉方向に徒歩で350メートルほど行ったところに、1984年開館の鎌倉別館があります。設計者は、大髙正人(1923-2010)。山に挟まれた住宅地に溶け込むように意匠的に工夫されています。
開館30年を超え、設備改修と利用者サービス向上のための約2年にわたる休館を経て、2019年10月12日にリニューアル・オープンを迎えました。展示室の壁面を一新し、彫刻庭園に面したテラスにはカフェスペースなどを増設し、アクセシビリティを向上させています。

建築


鎌倉別館は、1984年7月、常設展示スペースの確保と収蔵スペース拡充のため、元県営駐車場の敷地に建てられました。設計を担当したのは、千葉県立美術館、群馬県立歴史博物館などで博物館・美術館施設の経験をもっていた大髙正人建築設計事務所です。建設に先立つ発掘調査の結果、玄関から前庭にかけての部分に室町期の鶴岡八幡宮二十五坊跡と思われる遺構が出土し、保存しなければならなかったため、建物全体を山側に寄せました。キャンティレバー構造(片持ち梁)を用いてエントランス上の左右に跳ね出した2階は、この建物の特徴のひとつとなっています。結果として、当初の計画よりも建築面積をかなり縮小した、延床面積1,599.8平方メートル、展示床面積483平方メートルとなりました。
[外観画像 上:1984年/下:2019年]
第29回神奈川建築コンクール一般建築部門最優秀賞を受賞(1984年度)。1985年、建築業協会賞を受賞。軽快な印象をあたえる鎌倉館に対し、ヴォリューム感のある素材とデザインが対比的に用いられています。芝生の前庭には、当館の主要な蒐集活動の分野である現代彫刻が野外展示され、緑の多い周囲の環境と美しい調和をみせています。
開館から33年を迎えた2017年から、休館して改修工事を行いました。老朽化した電気・空調設備を更新し、展示室の壁面を一新するとともに、2016年に閉館した旧鎌倉館の機能を継承するために、カフェや学芸員室を新設しました。大髙建築ならではの重厚な外観を残しながら、増築部分は対照的に白を基調にした軽快で明るい意匠となっています。2015年度から設計を開始し、2018年2月着工、2019年5月工事終了後、整備期間を経て2019年10月12日にリニューアル・オープンを迎えました。
[展示室画像 上:改修前/下:改修後]
建築データ(2019年改修後)
- 敷地面積
- 4,937.00m2
- 延床面積
- 1,902.93m2
- 展示室
- 419.29m2
- 収蔵庫
- 359.56m2
- エントランスホール、ミュージアムショップ
- 69.78m2
- カフェ
- 35.35m2
- 事務室、応接室
- 32.54m2
- 学芸室
- 32.72m2
- 書庫
- 21.21m2
- 構造
- 鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨造(カフェ)
- 階数
- 地上2階、地下1階
- 設計
- 株式会社 国設計
- 施工
- サンハウス株式会社
- 再開館
- 2019年10月
建築データ(1984年開館時)
- 敷地面積
- 4,937.00m2
- 延床面積
- 1,599.8m2
- 展示室
- 483m2
- 収蔵庫
- 393m2
- 書庫
- 32m2
- 構造
- 鉄骨鉄筋コンクリート造
- 階数
- 地上2階、地下1階
- 設計
- (株)大高建築設計事務所
- 施工
- 前田建設工業(株)
- 竣工
- 1984年7月