展覧会
2026年度
山室眞二の薯版画〈かまくら博物誌〉
併陳 コレクション 暮らしの中で
山室眞二(やまむろ・しんじ/1939–)はじゃがいもを版とする薯版画を独学で制作し深化させてきただけでなく、装幀や造本なども多数手がけています。本展ではこれまでの作品に加え、作家と交流のある志村ふくみ(しむら・ふくみ/1924–、染織家、随筆家・人間国宝)の言葉を取り上げた新作《百葉筥》も展示します。また、所蔵品の中から麻生三郎(あそう・さぶろう/1913–2000)などがそれぞれの日常から題材をとった作品も併せて紹介します。
Image: 山室眞二《ツバメ》2025年 作家蔵 撮影:鈴木静華
もはやない国のかつてない光
東ドイツの女性写真家たち
第二次世界大戦後、東西の国家に分断されたドイツ。1990年の再統一によって消滅したドイツ民主共和国(東ドイツ)で女性が写真家としてキャリアを形成し、自身の芸術表現としても優れた作品を手がけたことは、ドイツ写真史において近年まで見過ごされてきました。ベルリンのラインベックハレン財団が管理するスヴェン・ヘアマン氏のコレクションを中心に、当時、あるいは現在も重要な作家として活動する15人の女性写真家を紹介する本展は、かつて存在した国で社会と日常の光景に注がれた繊細な視線と確かな技術に注目し、それらの作品が果たした役割を考えるものです。
Image: ジビレ・ベルゲマン《アネッテとアンゲラ、ルストガルテン、ベルリン》1982年
© Estate Sibylle Bergemann. Courtesy Loock Galerie, Berlin
「鎌倉近代美術館」と昭和の美術
1951年、当館は鎌倉市の鶴岡八幡宮境内に開館しました。坂倉準三(さかくら・じゅんぞう/1901–1969)が設計したこの建物は、「鎌倉近代美術館(カマキン)」の愛称で親しまれ、当館としての活動を終えた後、重要文化財に指定されました。昭和100年を記念して、戦後の名建築のひとつである神奈川県立近代美術館 鎌倉の関連資料とともに、松本竣介(まつもと・しゅんすけ/1912–1948)、鳥海青児(ちょうかい・せいじ/1902–1972)、山口薫(やまぐち・かおる/1907–1968)、 向井良吉(むかい・りょうきち/1918–2010)など、同館で紹介された同時代の作家たちによる名品を展示します。
Image: 松本竣介《建物》1935年 当館蔵
内間安瑆・俊子展 色を織り、記憶を紡ぐ
日系移民の二世として米国に生まれた内間安瑆(うちま・あんせい/1921–2000)は、1940年に日本に留学し、画家を志すようになります。戦後、恩地孝四郎(おんち・こうしろう/1891–1955)や棟方志功(むなかた・しこう/1903–1975)の知遇を得て創作版画の道に没頭すると、幾度かの変遷をとげながら、「色面織り」と呼ぶ独自の木版技法を深化させた連作〈Forest Byobu〉に至りました。幻想的なアッサンブラージュで知られた妻・俊子(うちま・としこ/1918–2000)にも焦点をあてながら、イサム・ノグチ(1904–1988)ら関連作家の作品とともに、二人の豊かな創作世界を回顧します。
Image: 内間安瑆《Forest Byobu (Autumn‐Stone) 》1979年 個人蔵
たいせつなものII—近年収蔵の彫刻・立体作品から—
近年収蔵された彫刻・立体作品の中から、吉田芳夫(よしだ・よしお/1912–1989)、村岡三郎(むらおか・さぶろう/1928–2013)、山本正道(やまもと・まさみち/1941– )、安田侃(やすだ・かん/1945– )、鷲見和紀郎(すみ・わきろう/1950– )、下川勝(しもかわ・まさる/1950– )、黒川弘毅(くろかわ・ひろたけ/1952– )、矢野美智子(やの・みちこ/1956– )、ホセイン・ゴルバ(Hossein Golba/1956– )などの彫刻・立体作品を展覧します。具象から抽象まで、さまざまな三次元の「かたち」が表す存在感をお楽しみください。
Image: エサシトモコ《蛾の女》1999年 当館蔵
福田尚代 あわいのほとり
美術家・福田尚代(ふくだ・なおよ/1967–)は、「世界は言葉でできている」という独自の思索を、言葉と美術によって探求してきました。始めからも終わりからも同じ読みになる回文を綴る一方、言葉に関わるモノ—本や手紙、鉛筆、消しゴムなどを素材に彫刻を施します。削り、折り、切り抜き、糸で縫い、針穴を穿たれたモノたちは元々の姿を失い、やがて小さな粒子となって消えゆくかのようです。本展では、こうした存在のはかなさ―生と死の「あわい」に光をあててきた福田の創作世界を、会場の空間をとりこんだインスタレーションによって展覧します。
Image: 福田尚代《漂着物/ひとすくい/泉》より 2024–2026年 作家蔵 撮影:髙橋健治