展覧会
鎌倉別館 開催中・これからの展覧会
木茂(もくも)先生の挿絵考
併陳:近代の洋画
木茂(もくも)先生こと、明治美術の研究者で愛書家の青木茂(あおき・しげる/1932–2021)の旧蔵書として当館に収蔵された約1万冊の「青木文庫」を紹介する展覧会。2024年度に続く今回は、明治から昭和初期までの「挿絵」や「漫画」に関する書籍、雑誌、挿絵原画を特集します。これらと時代を合わせ、浅井忠(あさい・ちゅう/1856–1907)、黒田清輝(くろだ・せいき/1866–1924)、藤島武二(ふじしま・たけじ/1867–1943)、中澤弘光(なかざわ・ひろみつ/1874–1964)、岸田劉生(きしだ・りゅうせい/1891–1929)らによる近代洋画の名品を展示します。
Image: 中村不折《北斎鳥跡ヲ利用シテ立田川の図ヲ為ル》1908年頃 当館蔵(青木文庫)

これもさわれるのかな?
—彫刻に触れる展覧会Ⅱ—
2022年に開催した展覧会「これってさわれるのかな?」の第二弾です。コレクションを中心とした彫刻に実際に手で触れ、さまざまな形や質感などを体験することで「見る」だけではない作品の味わい方を探ります。(作品保護のため、美術館で用意する手袋を着用していただきます)
Image: 堀内正和《半分おちそう》1973年 当館蔵 撮影:佐藤新一

川口起美雄 Thousands are Sailing
川口起美雄(かわぐち・きみお/1951–)は、目に見えないものは描かず、目に見えるものを描いて誰も見たことがない風景を現出する作家です。川口の作品は、ウィーンで学んだテンペラ絵具と油絵具の混合技法で描かれています。ニュアンスに富んだ質感をもち、物語を想起させる作風は、しばしば詩に喩えられ、「読まれる絵画」とも称されます。本展では、1970年代に制作された初期作品から初公開となる新作までを展示し、半世紀に及ぶ創作の軌跡をたどります。
Image: 川口起美雄《机の上の旅》2025年 個人蔵

福田尚代 あわいのほとり
美術家・福田尚代(ふくだ・なおよ/1967–)は、「世界は言葉でできている」という独自の思索を、言葉と美術によって探求してきました。始めからも終わりからも同じ読みになる回文を綴る一方、言葉に関わるモノ—本や手紙、鉛筆、消しゴムなどを素材に彫刻を施します。削り、折り、切り抜き、糸で縫い、針穴を穿たれたモノたちは元々の姿を失い、やがて小さな粒子となって消えゆくかのようです。本展では、こうした存在のはかなさ―生と死の「あわい」に光をあててきた福田の創作世界を、会場の空間をとりこんだインスタレーションによって展覧します。
Image: 福田尚代《煙の骨》2007–13年 色鉛筆の芯 うらわ美術館蔵 撮影:大谷一郎