展覧会

若江漢字とヨーゼフ・ボイス
撮影されたボイスの記録、そして共振
企画概要
若江漢字(わかえ・かんじ/1944–)は、1970年代のドイツ滞在を機にヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys/1921–1986)の芸術に共鳴し、彼と交流するなかで、ボイス作品をはじめとする現代美術の収集と展示など、自らの創作活動と並行して芸術と社会を結ぶ行為を続けてきました。ドクメンタ7でのアクション(パフォーマンス)や来日の際に若江がボイスの姿を間近で撮影し、またドイツ内外で主要なボイス展を記録した写真は、貴重な証言であると同時に若江の作家的視点を伝えます。多くが初公開となる記録写真と並行して二人の造形作品を展示し、両者の共通項と独自性を考察します。
展覧会のみどころ
1.ヨーゼフ・ボイスのドキュメント写真を多数初公開
第二次世界大戦後、西ドイツ(当時)のカッセルで始まった国際美術展「ドクメンタ」。1982年第7回会場でのボイスのアクションを最前列で見ていた若江は意図せず壇上に上げられ、至近距離から状況を撮影する機会を得ました。これらの貴重な写真を始め、1984年のボイスの日本滞在をとらえた記録写真などをニュープリントとプロジェクションで紹介します。
2.若江漢字の初期作品から最新インスタレーションまでをボイスのマルティプルとともに紹介
神奈川県立近代美術館では鎌倉館での個展「時の光の下に」(2004年)以来となる若江漢字の大規模な展示。今回は、初期作から新作にわたる若江の代表的な仕事、若江が横須賀市に設立したカスヤの森現代美術館が所蔵するボイスのマルティプル、そして若江撮影のボイス記録写真の3つによって会場を構成し、若江とボイスの造形の軌跡を概観する機会となります。
若江漢字(わかえ・かんじ)略歴
横須賀に生まれる。グラフィックデザインと版画を学び、1960年代後半から写真を用いたコンセプチュアルな平面作品などをサンパウロ・ビエンナーレ(1973年)ほか国内外で発表。1970-90年代にはドイツと日本で制作。ドクメンタ7(1982年)でボイスのアクションを間近に記録し、その後ボイスの知遇を得て取材や共同制作を行った。1984年、横須賀市にカスヤの森現代美術館を創設。
公式ウェブサイト:https://kanji-wakae.com/(外部サイト)
ヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys)略歴
ドイツのクレーフェルトに生まれる。第二次世界大戦従軍後、デュッセルドルフ美術アカデミーで彫刻を学び、1961年より同校教授。人間の創造行為を思考活動や社会運動へと「拡張された芸術概念」として捉え、ドクメンタやヴェネチア・ビエンナーレなど世界各地での作品展示に並行して教育や政治活動を実践。1984年には西武美術館での個展に際して来日し、対話集会やナムジュン・パイクとのコンサートを行った。
開催概要
- 会場
神奈川県立近代美術館 葉山 展示室1, 2, 3a, 4
- 会期
2025年11月15日(土曜)-2026年2月23日(月曜・祝日)
- 休館日
月曜日(11月24日、1月12日、2月23日を除く)、12月29日–1月3日
- 開催時間
午前9時30分-午後5時(入館は午後4時30分まで)
- 観覧料
一般1,200(1,100)円
20歳未満・学生1,050(950)円
65歳以上600円
高校生100円
*( )内は20名以上の団体料金です。
*中学生以下の方と障害者手帳等、ミライロIDをご提示の方(および介助者原則1名)は無料です。
*ファミリー・コミュニケーションの日(毎月第1日曜日:12月7日、1月4日、2月1日)は、18歳未満のお子様連れのご家族は割引料金(65歳以上の方を除く)でご覧いただけます。なお、同日は会話を楽しむ日「オープン・コミュニケーション・デー」となりますので、小さなお子様連れの方も、遠慮なくご覧ください。
*その他の割引につきましてはお問い合わせください。
*最新情報と来館に際してのお願いは美術館ウェブサイト等をご確認ください。
- 主催
神奈川県立近代美術館
- 協力
カスヤの森現代美術館
株式会社フレームマン
- 助成
公益財団法人DNP文化振興財団
- 県立美術館・博物館の割引
下記美術館・博物館の有料観覧券の半券提示で、観覧料が割引になります(入館日から6か月以内、半券1枚につき1回限り有効)。
同じ施設へも適用可能です。一部の展示を除き、65歳以上の方と高校生の割引適用はありません。詳細は各施設にお問い合わせください。- 近代美術館 葉山 電話:046-875-2800
- 近代美術館 鎌倉別館 電話:0467-22-5000
- 金沢文庫 電話:045-701-9069
- 歴史博物館 電話:045-201-0926
- 生命の星・地球博物館 電話:0465-21-1515
- 近隣館との相互割引
1)下記の施設の当日観覧券(招待券を除く)・年間入館券(有効期限内)をお持ちの方は、葉山館の企画展観覧料に割引が適用されます(1枚につき1回限り有効。65歳以上券を除く)。また、葉山館の企画展の有料観覧券(65歳以上券、高校生券を除く)の半券提示で、会期中の同日に限り下記の施設に割引料金でご入館いただけます。
2)下記の施設の観覧券半券(観覧日から6か月以内)・年間パスポート(有効期限内)をお持ちの方は、当館の観覧料に割引が適用されます(1枚につき1回限り有効。65歳以上券を除く)。また、当館の有料観覧券の半券(観覧日から6か月以内)を下記で提示いただくと観覧料に割引料金が適用されます。
- 茅ヶ崎市美術館 電話:0467-88-1177
- 同時開催/展示室3b
没後10年 江見絹子 —1962年のヴェネチア・ビエンナーレ出品作品を中心に—
作品紹介
-
若江漢字《絵ノ具-72-V》
1972年 ゼラチンシルバープリント、シルクスクリーン、パネル
作家蔵 -
若江漢字《楽園追放》
2010年 アクリル、カンヴァス
作家蔵 -
若江漢字《時の光の下に II(死の島)》
1989–2024年 ミクストメディア
作家蔵 photo:Koda Mori -
ヨーゼフ・ボイス《ヤーヤーヤーヤーヤー、ネーネーネーネーネー》
1969年 フェルト、録音テープ
カスヤの森現代美術館
Ⓒ VG BILD-KUNST, Bonn & JASPAR, Tokyo, 2025 G3821 -
ヨーゼフ・ボイス《ケルティック+~~~~》
1971年 フィルム、写真、蜜蝋で封印されたゼラチン入りの瓶、茶色の塗料(ブラウンクロイツ)で押印された箱
カスヤの森現代美術館
Ⓒ VG BILD-KUNST, Bonn & JASPAR, Tokyo, 2025 G3821 -
ヨーゼフ・ボイス《塗り、回すオブジェ》
1972年 缶、グリース、ドライバー、茶色の塗料(ブラウンクロイツ)
カスヤの森現代美術館
Ⓒ VG BILD-KUNST, Bonn & JASPAR, Tokyo, 2025 G3821 -
ヨーゼフ・ボイス《カプリ・バッテリー》
1985年 白熱電球、ソケットプラグ、レモン
カスヤの森現代美術館
Ⓒ VG BILD-KUNST, Bonn & JASPAR, Tokyo, 2025 G3821 -
ヨーゼフ・ボイス《Geysir(間欠泉)》
1976年 印刷物、ヨードチンキ
カスヤの森現代美術館
Ⓒ VG BILD-KUNST, Bonn & JASPAR, Tokyo, 2025 G3821 -
「ヨーゼフ・ボイスの足型を取る若江漢字 デュッセルドルフ、ボイスのアトリエの庭 1983年7月16日」
撮影:若江栄戽 -
若江漢字撮影「ヨーゼフ・ボイス ドクメンタ7でのアクション 1982年6月30日」
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若江漢字撮影「ヨーゼフ・ボイス デュッセルドルフのアトリエで 1982年11月15日」
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若江漢字撮影「展示作業中のヨーゼフ・ボイス 東京、西武美術館 1984年5月31日」
関連イベント
すべて事前予約不要、参加無料(ただし、高校生以上の方は当日観覧券が必要です)
パフォーマンス Project Blue Print(欣侘東生、宮崎蓉子)
- 日時
12月6日(土曜) 午後3時-4時(予定)
- 場所
葉山館 展示室
- 出演
Project Blue Print(欣侘東生、宮崎蓉子)
- ゲスト
若江漢字
関連情報
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カスヤの森現代美術館 「若江漢字 絵画という問い I」
本展と同時期にカスヤの森現代美術館で若江漢字の個展が開催されます。
併せてお楽しみください。会場 カスヤの森現代美術館(神奈川県横須賀市) 会期 2025年11月15日(土曜)- 2026年2月23日(月曜・祝日) 開館時間 午後10時-17時30分(入館は17時まで) 休館日 月・火・水曜日、12月23日(火曜)-2026年1月3日(土曜)
展覧会図録について
会場写真収録のため、本展図録の販売は12月中旬を予定しています。