展覧会
葉山館 2024年度
石田尚志 絵と窓の間
画家/映像作家の石田尚志(いしだ・たかし/1972–)は、自ら描いた絵を1コマずつ撮影するドローイング・アニメーションの手法により、画面の内に増殖する線や色の変化を映像作品に表現してきました。国内外での発表を重ね、近年は立体を含むインスタレーションへ、そしてカンヴァス絵画へと新たな展開を見せています。2015年以来の大規模な個展となる本展では、初期作や会場制作を含めて、近作・新作を中心に石田尚志の仕事を展示します。
Image: 石田尚志《絵と窓の間》2018年 ©Ishida Takashi
[巡回情報(予定)]2025年4月19日–6月22日 アーツ前橋/2025年8月8日–10月5日 高松市美術館
吉田克朗展
ものに、風景に、世界に触れる
吉田克朗(よしだ・かつろう/1943–1999)は、1969年から物体を組み合わせた作品の制作を開始し、後に「もの派」と称される動向の先鞭を切った作家のひとりです。その後、写真を用いた版画に加え、転写などの実験的な手法を試みながら絵画表現を模索し、粉末黒鉛を手指でこすりつけて有機的な形象を描く〈触〉シリーズにより注目を集め、55歳で逝去しました。本展は制作ノートなどの資料も多数紹介し、吉田克朗の全貌に迫る初めての回顧展です。
Image: 吉田克朗《Work "9"》1970年 当館蔵 ©The Estate of Katsuro Yoshida / Courtesy of Yumiko Chiba Associates
斎藤義重という起点
世界と交差する美術家たち
「吉田克朗展」にあわせ、吉田克朗(よしだ・かつろう/1943–1999)が多摩美術大学で師事した美術家の斎藤義重(さいとう・よししげ[ぎじゅう]/1904–2001)を取り上げます。斎藤の作品とともに、今井俊満(いまい・としみつ/1928–2002)、佐藤敬(さとう・けい/1906–1978)、堂本尚郎(どうもと・ひさお/1928–2013)など、1960年代に斎藤と交流し世界で活躍した美術家の代表作を展覧します。また優れた美術教師でもあった斎藤の活動を、当館が所蔵する斎藤義重アーカイブの資料から紹介し、斎藤を起点に若手作家が世界へと飛躍した背景を辿ります。
Image: 斎藤義重《漁村》1956年 当館蔵
芥川龍之介と美の世界
二人の先達—夏目漱石、菅 虎雄
今も幅広い世代に愛される小説家・芥川龍之介(あくたがわ・りゅうのすけ/1892–1927)。芥川は作品や書簡等においてしばしば美術に言及し、その文学と美術への関心の高さは、彼が師と仰いだ夏目漱石(なつめ・そうせき/1867–1916)と共通しています。一方、菅虎雄(すが・とらお/1864–1943)は、芥川の一高時代のドイツ語の教師であるとともに、漱石を禅に導いた人物でした。本展では、芥川を中心とする漱石、菅の三人の交流関係に注目しながら、芥川の文学世界とその眼を通した美の世界を紹介します。
Image: 『芥川龍之介集』(1927年、新潮社)より[部分]
[巡回情報]2023年10月28日–2024年1月28日 久留米市美術館
木茂(もくも)先生と負翼童子
自らを書痴と称し、愛書家にして愛煙家であった“木茂(もくも)先生”こと美術史家・青木茂(あおき・しげる/1932–2021)。幕末明治の洋画家・高橋由一研究の第一人者として長年にわたる研究を重ねた青木が蒐め、当館に譲られた蔵書「青木文庫」は1万冊に及びます。今後の美術史研究に大きな遺産となる「青木文庫」から明治期の貴重な資料を紹介するほか、青木の調査によって明らかとなった2019年度収蔵の高橋由一旧蔵作品《負翼童子図》(作者不詳)を修復後初公開します。
Image: 《負翼童子図》(部分)作者・制作年不詳 当館蔵